年下のカノジョ~あの子は高校生~
 けんた君はよほど満足したらしく、帰りの車内で興奮気味にずっと話していた。

「ちょ、ちょっと。
 少しは静かにしなさい」
 手を大きく振り回してしゃべる弟クンをいさめる由美奈ちゃん。

「はははっ。
 気にしなくていいよ」

 はしゃぐけんた君の様子は微笑ましい。



 ルームミラー越しに後部座席をちらりと伺う。

 この狭い空間に由美奈ちゃんがいる。



 幸せだなって思う。

 この時間がずっと続けばいいのにとは思うけれど、無情にも車は元の公園に着いてしまった。



「ここでいいの?
 家まで送るよ」

「いいんですよ。
 家の前で工事が始まっちゃったらしくて。
 きっとすごく混んでいると思いますから」

「工事?」

―――こんな時間に?

 道路工事なら帰宅ラッシュのこの時間には絶対に行わないはずだ。

 もしかして、俺とこれ以上一緒にいたくなくて、そんなことを言っているのだろうか。

 気をつけていたはずなのに、やっぱり何かヘマをしたのかも・・・・・・。


 内心ヘコんでいると、由美奈ちゃんが慌てて言った。

「あ、あの。
 工事といっても、道路じゃなくって。“ウチの前の道路で水道管が破裂した”と、お母さんからメールが来たんです。
 だから車は入れないらしくって」

「あ、なるほど」
 そういうことか。

 よかった。

 嫌われたわけじゃなかったんだ。




 由美奈ちゃんのこととなると、必要以上に気を回しすぎちゃうなぁ。
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