年下のカノジョ~あの子は高校生~
「2人で何をこそこそしゃべっているんですか?
 僕も仲間に入れてくださいよぉ」
 バタバタッ、とうわさの主が駆けて来る。
 
 俺と水田は苦笑した。



 男三人で更衣室へと向かう。

「そういう三山は何を持ってきたんだ?」

「ん?
 店長にはワインで、他の人には無難にキャンディーにしておいたよ」

―――由美奈ちゃんには別に写真集があるけど、それは内緒だ。
 

 果たして無事に渡せるだろうか。



 朝食の時に決めたのは“出たとこ勝負”って事。
 
 もし、彼女に渡せるタイミングが巡ってきたら、少しは俺の恋に可能性があるんじゃないかって。
 
 この先の俺を占う運試し。


 うまく行くといいな。






 ランチ開店前の空き時間に、事務員さんやパートさんたちにお返しを配って歩いた。


 叔母さんへのワインの包みには、俺の字でデカデカと“ロマネコンティ”と書いた紙
を張りつけてある。

『飲むのが楽しみだわぁ』と、苦笑しながらも受け取ってくれた。



 今日も慌しく、ランチの時間は過ぎていった。


 昼食を済ませ、ぶらぶらと暇をつぶした後、従業員入り口に俺はいた。

 もちろん俺の手にはお返しの入った紙袋。



 只今4時20分。

 5時からのシフトの人たちがそろそろ出勤してくる頃だ。





―――由美奈ちゃんにうまく渡せるだろうか・・・・・・。
 


 不安と緊張で心拍数が上がる。

 こんなにドキドキするのはいつ以来だろう。
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