年下のカノジョ~あの子は高校生~
「申し訳ありませんでした」


 何度も謝る由美奈ちゃんに、そのお客は『もう、いいのよ』と優しくなだめている。

「大丈夫よ。
 気にしないで」

 『自分の不注意に原因がある』と分かっているから、その女性客は事を荒立てる様子はない。



 だけど。

 クリーム色の生地に赤いシミはどうしたって目立ってしまい、他のお客の目を引いてしまう。

 それではこのお客様がかわいそうだ。




―――よ~し、俺の雑学が役立つ時だな!!

「お客様。
 そちらのボトルにある白ワインを少しいただけますか?」

 テーブル中央に置かれているワインクーラーを指した。



「え?
 ええ。
 かまいませんけど・・・・・・」
 どうして俺がワインを要求したのかまるで分からないようで、戸惑いの表情を浮かべている。



 俺は手に持っていたナフキンに少しだけワインを染み込ませ、その場に膝をついた。


「足元失礼いたします」

 白ワインを含ませた布で、赤いシミを丁寧に叩くと、徐々に赤みは薄れ始める。

 根気強く繰り返すうちに、ワインのシミは見た目ではまったく分からなくなった。




 これならば人目を気にせずに歩けるだろう。


「あらっ!」


 女性客をはじめ、心配気に状況を見守っていた周りのお客もその様子に驚いている。





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