年下のカノジョ~あの子は高校生~
「これでシミは目立たなくなりました。
 ですが、念のためにクリーニングに出された方がよろしいかと」
 まるで手品のような出来事に目を丸くしている女性客に告げた。


―――これでこの場は収まるだろう。

 そう判断した俺は
「お食事中のところ、失礼いたしました」
 と、頭を下げてその場を後にした。






 
 日曜の夜は客足の引きも早く、ラストオーダーの時点でホールにはお客がいなかった。



 ホールスタッフ全員で床の掃除や、片づけを行う。
 
 俺はモップで床を拭いていた。


「ふう、やれやれ」



 久しぶりすぎるほどに久しぶりのホール。

 普段の仕事とはまったく違うので、大して動き回っていない割には疲れた。
 
 体ではなく、精神的にぐったりだ。





「三山さん、お疲れ様」


 ポン、と肩を叩かれた。

 顔を上げると、そばにいたのは山岸さん。




「おつかれさまです」

「さっきは手が放せなくってごめんなさい。
 うまくトラブルを処理してくれたのね。
 どうもありがとう」


「トラブルって程のものじゃなかったですよ。
 お客様もご自分が悪かったと言ってましたし」

 照れる俺は指で鼻の頭をかいた。
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