年下のカノジョ~あの子は高校生~
「それは、困ったことになってますね」
 田口さんも壁に張られたメモに釘付けになる。

 小さい声で「うわぁ」というのが聞こえた。
 


 バイトを始めて5ヶ月ほどの田口さん。

 クリスマスの仕事は初めてだけど、目の回るほど忙しい金・土曜の夜を何度か経験しているので、その苦労が想像できたようだ。



「・・・・・・そうだ。
 ねぇ、エリカちゃん。
 友達でバイトできそうな子、いない?」
 赤川が話しを切り出す。

「えー、そうですねぇ」
 首をかしげて、考え込んでいる田口さん。




「あっ。
 そう言えば、カフェでバイト経験のある子がいますよ。
 一人だけですけど」
 ぱっと顔を上げてそう言った。


「この際一人でもいいわ。
 その子にお願いできる?」
 すがりつくような視線の山岸さん。

 藁をもつかむ思いというのはこういうことだろう。


「う~ん、どうですかねぇ。
 新しいバイトを始めたとは聞いてないから、来てもらえるとは思いますが」

 運良く心当たりがあったものの、その友達が来てくれない事には話が進まない。


「その子と今すぐに連絡取れるかしら?」
 例え猫の手であっても借りたい心境の山岸さん。
 
 それこそ必死なのだ。

 急なお願いで失礼なのは承知の上で、田口さんに申し入れる。


「はい。
 じゃ、電話してみますね」
 田口さんは快く引き受けてくれた。




 パタパタと駆けていって、更衣室から携帯を取って戻ってきた。
 
 チョコチョコとボタンを押して、電話をかける。

 じっと固唾を飲んで見守る俺達。



 異様な緊張感の中、電話がつながった。
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