年下のカノジョ~あの子は高校生~
「でも、あなたがいなければあの場はどうにもならなかったでしょうよ。
 柏木さんはホールスタッフとしてはもちろん優秀だわ。
 だけど、さすがに16歳じゃ、あの場の対処は難しかったと思うもの」

「・・・・・・それ、俺が年寄りっぽいというように聞こえますが?」

「うふふ、気にしすぎよ」
 くすくすと山岸さんが笑った。



「何はともあれ、今夜は助かったわ」

「いえ、お役に立てたのなら良かったです」


 一時どうなることかと思ったけど、無事に仕事を終えることが出来てよかった、よかった。







 出入り口付近の床を掃除していたら、タタタッと誰かがやってきた。

 由美奈ちゃんだった。

「さっきはありがとうございましたっ」
 深々と頭を下げる由美奈ちゃん。

「いや、別に。
 たいしたことしてないから」


 そんな大げさにお礼を言われると、かえって照れてしまう。



「お客様に怪我がなくてなによりだったね」

「はい。
 それにしても、三山さん、魔法使いみたいでしたぁ」

「ははっ、魔法なんかじゃないよ。
 たまたまラジオで聞いたことをやってみただけ。
 白ワインには漂白作用があるんだってさ」




 人生なにが幸いするか分からない。

 何気ないラジオの情報でも、こうして役に立ったりするからな。
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