年下のカノジョ~あの子は高校生~

19】ただの“知人”?それとも“友人”?

 桜の花もだいぶ散った4月半ば。



 この時期、歓迎会などでディナーは忙しいが、ランチは暇である。

 早々に夜の仕込を終えた俺は、携帯を片手に店の裏や駐車場をうろついていた。




「今日はどうかなぁ。
 可愛い子に会えるかなぁ」
 
 視線をめぐらせると、フェンスのそばでゆったりとくつろいでいる影を見つける。

「おっ!!久々に美人発見!!」


 逃げられないように、驚かせないようにと携帯のカメラを静かに向ける。


 抜き足、差し足、忍び足~。

 そーっと、そーっと、1歩ずつギリギリまで接近。


「よしっ!」

 パチリ。

 見事、被写体をカメラに収めた。





「うん、うん。
 よく撮れてる。
 なかなか可愛いぞ」

 その場で写り具合をチェック。

 せっかくなのでもう一枚撮ろうとカメラを向けたら、モデルが俺に気付き、すたすたと立ち去ってしまった。




「ちぇっ。
 違う角度の写真も欲しかったのになぁ」
 去ってゆくモデルの後姿に、ぶつぶつと投げかける。



 あっ。

 言っておくけど、由美奈ちゃんとの片想いに見切りをつけて、他の人に手を出しているとかじゃないからね。
< 142 / 718 >

この作品をシェア

pagetop