年下のカノジョ~あの子は高校生~
 甘かった。

 数分後、俺は自分の行動の鈍さを悔やむこととなる。
 


 クリーニングから返ってきたクロスやカーテンを、山のように抱えた由美奈ちゃんが通る。

「よいしょ。
 けっこう重いなぁ」

 たくさんの荷物が邪魔で足元が見えていない。


 濡れた床を踏んだ由美奈ちゃん。

 硬くつるつるとした床は、水がこぼれたことで想像以上に滑りやすい。


「きゃぁっ!!」

 叫び声と共に人が倒れる音と、バサバサと布の塊が落ちる音が。






「なんだ、なんだ?」

 厨房や事務所から、わらわらとスタッフ達が顔を出した。



「・・・・・・あら、柏木さん?!」
 山岸さんがちょっとあわてた声を上げる。



―――え、由美奈ちゃん?!



 ペーパーを手に持った俺は、他の人をかき分けて前へ出た。


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