年下のカノジョ~あの子は高校生~
「さ、病院に行こうね」

 俺は由美奈ちゃんの背中とビザ裏に腕を回し、抱き上げた。

 いわゆる“お姫様抱っこ”である。



「あっ!
 ええっ?!」


 体がふわりと浮いて、驚く由美奈ちゃん。

 突然のことに、足をばたつかせたり、きょろきょろしたり。




「こら、じっとしてて」

「・・・・・・はい」
 俺が言うと、モジモジと恥ずかしそうにうつむいて大人しくなった。


 こんなことをされたのは初めてらしい。

 やたら照れている由美奈ちゃんが可愛い。



 でも。

 緊張して妙にこわばっている彼女の体は、抱き心地が不安定。


―――ん~、困ったな。

 何かの拍子で由美奈ちゃんを落としてしまったら、ネンザどころじゃ済まないだろう。 


―――そうだ。


「このままだと俺の腕が変にしびれちゃうからさ。
 しがみついてくれるかな。
 コックコートはシワになっても大丈夫だから、体を寄せてぎゅっとつかんで」

 俺の言葉にコクンとうなずき、おずおずと俺の胸元にしがみつく。


 白く華奢な手でコックコートを握り締め、頬を赤くしてうつむいている由美奈ちゃんの可愛さったら、もう!!!


―――このまま家に連れて帰りてぇ~!



 そんな訳にも行かず、俺は心の叫びをどうにか収めて病院に向かう。
< 173 / 718 >

この作品をシェア

pagetop