年下のカノジョ~あの子は高校生~
 病院は大通りをはさんだ向かい側。

 そんなに遠くはない。



 歩く振動で由美奈ちゃんに痛い思いをさせないように、慎重に進む。


 その時、そよ風が吹いて由美奈ちゃんからいい匂いがした。

―――うっはぁ、いい香り~。


 シャンプーだろうか。

 野に咲く小さな花をイメージさせる。

 『可愛い』って感じで、由美奈ちゃんにぴったりだ。



 そんな彼女の香りをもっと感じたくて、知らず知らずのうちに、腕に力が入っていた。
 
 さっきよりも俺達の体はかなり密着しいている。





「三山さん・・・・・・」

 胸元から申し訳なさそうな声。

「ん、何?」

「少し苦しいですぅ。
 力を緩めてもらえますか」



「あ、ごめんっ」

 急いで力を抜くと、由美奈ちゃんはほっと息を付いた。


「ごめんね。
 そのぉ、落としたらいけないと思ったら、つい力が入ったみたいで」




―――“近くで香りを感じたかった”などとは口が裂けても言えないな。


 言ったとたんに変態さん扱いされそうだ・・・・・・。

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