年下のカノジョ~あの子は高校生~
 お母さんに気に入られて嬉しいけど、時間も時間だし。

 もう10時は過ぎているはずだ。


「夜も遅いですし、これで失礼しますね」


 俺が出て行こうとした時、
「あーあ」 
 と、残念そうな声が。


「せっかく美味しい紅茶を頂いたから、ご馳走しようと思ったのにぃ」
 お母さんがぼやいた。



「紅茶ですか?」
 踏み出した俺の足が止まる。


―――美味しい紅茶か。
   気になるな。


「そう。
 なんか有名なお店のものですって。
 お茶の名前は・・・・・・。
 確か“メークイーン”って言ったかしら」

―――メ、メークイーン??


「お母さん、それはジャガイモの品種でしょ!」
 由美奈ちゃんが再び突っ込む。


「あ、そっか。
 “メインクーン”だっけ?」

「それは猫!!
 お母さんが言いたいのは“クイーンメリー”でしょうが!!」

「そう、それそれ!
 似てるからつい間違えちゃうのよねぇ」

 肩をすくめて、フフッと笑う。
 


 何だか憎めないお母さんだ。

< 208 / 718 >

この作品をシェア

pagetop