年下のカノジョ~あの子は高校生~
「ねぇ、お母さん。
 お父さんは?」

「今日は会社の送別会で遅くなるそうよ」


 台所でお茶の準備をしているお母さん。

 首だけこちらに向けて答える。



 その返事に、内心ほっとする俺。

 由美奈ちゃんの親にお詫びする覚悟はできていたけど、それでも『父親』に会うのは緊張する。


―――でも、いつかはお父さんに会う機会があるかもな。


 俺はまたしても、現実から離れる。


―――『由美奈さんを俺にください!』とか、言っちゃたりして~。




 1人で妄想ワールドを繰り広げていると、こちらをじっと見ている由美奈ちゃんに気が付いた。


「な、何?
 どうしたの?」

「おぶってもらった時も思ったんですけどね。
 三山さんの髪、柔らかそうだなぁって」


「ああ。
 人よりもちょっと柔らかいかも。
 湿気が多い時はまとまらなくて面倒なんだよね」


「へぇ」

 由美奈ちゃんが手を伸ばす。






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