年下のカノジョ~あの子は高校生~
 彼氏だったら優しく抱きしめて。

 ゆっくりと髪をなでてあげて。


 由美奈ちゃんを安心させてあげられる。



 でも。

 俺は彼氏じゃないから。



 この胸に彼女を抱きしめることは出来ない。




 それでも、俺に出来る事があるはず。




 由美奈ちゃんには笑っていて欲しい。

 いつでも笑顔でいてもらいたい。


 今の俺に出来ることは話を聞いてあげることくらい。

 少しでも彼女の役に立てるのなら、『単なる職場の知り合い』に見られても良かった。


 すべては愛しい由美奈ちゃんのため。






 車のデジタル時計は22:13。

 バイトが休みだった由美奈ちゃん。

 今頃テレビでも見ているんだろうか。



 メモリーから彼女の番号を呼び出し、通話ボタンを押した。




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