年下のカノジョ~あの子は高校生~
「さぁて、帰ろうか」

 オーナーの一言で、みんなが厨房を出て行く。



 俺は出て行こうとする水田を引き止めた。

「あのさ。
 クリームとか、フルーツって残ってないか?」

「あるよ。
 正面の冷蔵庫に入ってる。 
 今から何に使うんだ?」
 眉をひそめて俺を見る。

「あ、ちょっと・・・・・・。
 試したいことがあるんだ」
 


 へたに『ケーキを作る』なんて言ったら、しつこく詮索される。

 それか『俺が作ってやる』とか、言い出しかねない。
 

 由美奈ちゃんへのケーキは俺が作らなきゃ、意味が無いのだ。



「ふぅん。
 まぁ、好きに使え。
 俺は先に帰るぞ」

 ぐったりとした顔の水田は、余計なことを聞かずにいてくれた。


「ああ、お疲れ」






 こうして厨房に残ったのは俺1人。



「さて、始めますか」
 
 俺は腕まくりをし、ホットケーキ作りを開始した。
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