年下のカノジョ~あの子は高校生~

5】重なる手:この感覚はなんだっ!?

 まさに戦争だった怒涛のクリスマス3日間を終え、今夜は仕事納めと忘年会をかねた飲み会だ。


 『シェ・カミノ』から歩いて5分ほどの距離にある行きつけの居酒屋。

 飲み会はいつもここだ。

 ドリンクもフードも種類が豊富で、しかも美味しくて安い。



 安く上げるならば自分達の店でやればいいとか思うけど。

 飲み食いした後に片付けをするのはかったるいのだ。


 それに、普段は散々お客さんのために料理を作っているので、“たまには自分達のために作ってもらった料理が食べたい!”というのがコック一同の意見でもある。 



 20人ほど入る座敷一室は、ウチの従業員で埋め尽くされていた。
 
「手元に飲み物はいきわたったか?」
 オーナーシェフの公介叔父さんが、ビールの注がれたグラスを手にやおら立ち上がる。

「今年一年よく頑張ってくれた。
 みんながしっかりと働いてくれたおかげで、小さいながらもウチの店はお客が絶えない。感謝している」

 叔父さんの言葉に、従業員達がニコニコしながら耳を傾けている。



「今日は思う存分飲んでくれ。
 食べてくれ。
 よし、乾杯!」

「かんぱぁい」

 少し上に掲げたグラスを手の届く範囲の人たちと合わせてから、俺は一気にビールをあおる。

 冷たいビールが一気に喉を駆け抜けてく。



「っはぁ、うまぁい!!」

 グラスはあっという間に空になった。


 この飲み会のために、毎日の常である晩酌を昨日はしなかった。

 そして今日一日、飲み物は最低限の水しか口にしなかったのである。


「いい飲みっぷりですねぇ」
 隣に座る田口さんが目を丸くしている。

 彼女の手の中にあるオレンジジュースは、まだ二口ほどしか減っていない。


「田口さんも大人になったら、けっこう飲むようになるかもよ」
 空いたグラスをテーブルに戻しながら、話しかけた。
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