年下のカノジョ~あの子は高校生~
 そんな俺の不機嫌をよそに、赤川がニタニタと笑いだした。

「うふふふ、み~や~ま~さぁん」
 回した腕に更に力を込められた。

「こら、やめろっての!」

―――気色悪い!!
   俺には男と肌を重ねる趣味はないんだよ。


「いい加減離れろよ!」

 赤川の腕を解こうとするが、予想以上に力が強い。


―――くそっ。
   旨そうな焼き鳥が冷めちまうじゃねぇか!
   誰か助けて・・・・・・。


 左右を見てもそこに高橋さんと田口さんの姿はない。

 オーナーにお酌をしに、席を立っていたのだ。



「どけよっ」
 半分怒りの混じった低い声で脅すが、酔っ払った赤川には俺の凄みは効かなかった。

「三山しゃん、よかったれすねぇ」
 こともあろうに、奴が頬を摺り寄せてきた。


―――ぎゃぁぁぁ、や~め~ろぉぉぉぉぉっ。

 俺の心の叫びは、むなしく響くだけ。



「いい加減にしてくれっ!
 “よかった”って何がよかったんだよっ!!」
 噛み付かんばかりの俺。

 焼き鳥は完全に冷めてしまった。

―――あうぅぅ、俺の焼き鳥・・・・・・。



「何って、柏木しゃんが残ってくれてれすよぉ」
 くふふっ、と赤川が笑う。


―――耳元で笑うなっての!!


「はぁ、お前何言ってんだ?
 よかったのはホールにとってであって、俺にじゃないだろ。
 お前、頭大丈夫か?
 言ってる意味が分かんないぞ」

「大丈夫れす。
 ぜんっぜん、大丈夫れっす。
 酔ってますけろ、自分が何を言ってるのか分かってましゅから」
 ひっく、と1回しゃくりあげて、赤川は話を続ける。

「三山しゃんとぉ、柏木しゃんはぁ、赤い糸でぇ、結ばれておったのでござる。
 うむ」
 自分の言葉に深くうなずく赤川。

「ござるって・・・・・・。
 いつの時代の人間だ。
 それに、何だ。
 赤い糸って」

 怒りを通り越して、もはや呆れ果てるだけの俺。

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