年下のカノジョ~あの子は高校生~
「“運命の赤い糸”ってことでござんす。
 だからぁ、神しゃまがぁ、二人をぉ、引き合わせたでごわす」

 一層怪しい言葉遣いだ。


「またその話かよ」
 俺の口からため息が漏れた。


「しょんなこと言ってぇ。
 三山しゃんらって柏木しゃんのこと、気になっているくせにぃ」

 にやにや、にやにや。

 赤川が気色悪い笑みを浮かべる。



「まぁ、いい子だってことは分かったけどよ。
 でも、柏木さんは・・・・・・何て言うかなぁ、歳の離れた妹?
 じゃねぇなぁ。
 あ、姪っ子って感じだな」

 我ながら絶妙の例えだ。

『いい子だなぁ』と思うのは、けして恋愛感情からではない。



「うひひひひひ、今に分かりますよぉ。
 僕の言っていることが正しいってことを・・・・・・」

 そう言いながら、ズルリと赤川の体がかしぐ。



「えっ?!」



 驚く俺の横で、ドサリと音を立てて赤川が倒れた。


「お、おい。
 赤川っ」

 奴の体を揺さぶるが、目を覚まさない。



「大丈夫かよ・・・・・・?」

―――救急車を呼んだ方がいいのか!?


 悩む俺の耳に聞こえてきたのは、規則正しい奴の寝息。




「・・・・・・なんだ、寝ちまいやがったのか」

 やれやれ。

 紛らわしい奴だよ。



「赤川さん、どうしたんですか?」

 見上げれば、ビール瓶を手にした柏木さんが立っている。



「ああ、酔っ払って眠ってるだけだ。
 こいつは酒に弱いくせに、勢いよく飲むからさ」

 邪魔にならないように、人の通らない壁際に赤川を押しやった。

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