年下のカノジョ~あの子は高校生~
「ならいいけど。
 ところで、正和君はタクシー使う?」

「いえ。
 酔い覚ましもかねて歩いていきます。
 40分もあれば着くと思うので」

「そう?
 わかったわ」

「じゃあ、気をつけてな」

 叔母と叔父が軽く手を振ってくれる。

「はい、おやすみなさい」
 2人に頭を下げて、俺は沿道を歩き出した。



 そこへ
「三山さぁん」
 と、背後から呼び止める声がした。


 振り返ると柏木さんが走ってこちらに向かっていた。

「どうかした?」



「あの、さっきこぼしたビールで、服が染みになっていないか気になって・・・・・・」

「ん?」
 言われて、薄暗い中で目を凝らしてジーンズを見るが、目立つような染みはなかった。

「大丈夫みたいだね」

「ああ、よかったぁ」
 柏木さんがほっと胸をなでおろした。



 その横を大きなダンプが通り過ぎる。

 ヘッドライトに照らされた彼女の顔に影ができ、その陰影ははっとするほど綺麗だった。


「ごめんなさい、引き止めてしまって。
 おやすみなさい」
 にこっと笑った顔は、いつものあどけない表情に戻っている。


「・・・・・・ああ、おやすみ」
 俺が言うと、柏木さんはくるりときびすを返し、田口さんのところに走っていった。


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