年下のカノジョ~あの子は高校生~
 視線を戻した時には、そのお客様は山岸さんの案内で席についたところだった。




「ねぇ。
 あのお客様って、由美奈のこと見てなかった?」
 エリカがこそっと耳打ちしてくる。


「そうだった?」
 私はわざと気がついていない振りをした。



―――睨んだように見えたのは、気のせいかもしれないし。



「絶対見てたよ」
 エリカは断言する。


「そっかなぁ。
 よく分かんない」
 
 私はとぼけて、ワイングラスを磨き続ける。
 

 エリカは私のそんな様子を特に気に留めた感じもなく、話を進める。


「田辺さんて言うんだけどさ。
 この先の病院で、事務をしているって聞いたことあるよ」

「へぇ、病院の人なんだ」



 仕事帰りだと思うけど。

 その割にはすごく綺麗な格好。




 この後、恋人にでも会うのかな?
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