年下のカノジョ~あの子は高校生~
―――何だろう。

 私が不思議そうな顔をしていると、田辺さんが口を開いた。


「ごめんなさいね。
 あなたがあんまり“可愛らしい”から。
 つい見とれちゃって」


「いえ・・・・・・」

 田辺さんの口調にトゲを感じた。




 彼女の口から出た『可愛らしい』という言葉。

 見た目の可愛らしさではなく、『幼い』ということを言いた気だ。




―――私の気にしすぎかなぁ。
 

 大人っぽいこの人を前に、私が気後れしているだけかもしれない。
 


 水も注ぎ終えたし、もう用はないだろうと立ち去ろうとした時、

「そうそう、お願いがあるの」
 と、田辺さんが私を引きとめた。



「はい、なんでしょう」

「このパスタを作ったシェフとお話がしたいのだけれど、呼んで頂ける?
 とても美味しかったから、一言お礼を言いたくて」
 細く長い指をテーブルの上で重ねて、私に言った。



「かしこまりました。
 少々お待ちください」


 私は一礼して、厨房へと向かった。
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