年下のカノジョ~あの子は高校生~
「田辺さん、何であんなに私の事じっくり見てたんだろう。
 じろじろ見ていたから、その仕返しかなぁ」

 独り言をつぶやきながら、厨房のスイングドアを開けた。



 客もまばらな店内だと、もちろん厨房もたいした仕事がない。

 みんな片づけやら、明日の準備に取り掛かっていた。




「すいません。
 今夜のパスタ担当の方、お手すきですか?」

 大きな声で呼びかけると、包丁をといでいた正和さんが手を止めた。 
 

「俺だけど、何かあった?」

 濡れた手をサロンで拭きながら、こちらにやってくる。


―――はぁ、コックコート姿の正和さんて、さらにかっこいい。



 勤務中ということも忘れて、私は見とれてしまった。







「あの・・・・・・。
 どうかした?」


 彼の声で、はっと我に返る。

「え・・・・・・、そ、そのぉ。
 お客様がとても美味しかったから、シェフにご挨拶したいとおっしゃられたので」

 
 私がそう言うと、厨房内がにわかにざわついた。



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