年下のカノジョ~あの子は高校生~
「お前、今27だっけ?」
 体質が母親似の兄貴はビールをグラスに2杯飲んだだけで、頬が赤く染まっている。

「そうだけど」
 一方、親父似の体質を持つ俺にとって、ビールはもはや水代わり。


「俺がお前の年のころには、もう結婚してたぞ。なぁ?」
 追加の日本酒を運んできた里香義姉さんを見ながら、兄貴が言った。


「そうねぇ。
 あの子達がもうお腹にいたわよね」
 唯一助けてくれそうな義姉さんも、ちゃっかり話に加わる。
 

 完全に四面楚歌な俺・・・・・・。
 
 何をどう言っていいものやら、悩んでいる俺をそっちのけで話は進められる。


「まぁまぁ、正和。
 結婚はともかく、彼女くらいはいるだろう?」
 空いた俺のグラスにビールを注ぎながら、親父が話しかける。


 ビールを受けながら、苦笑いの俺。

「いや、いないよ」
 当然のように、さらりと言う。


「ええっ、いないのっ?!」
 全員が口を揃えて一斉に俺を見た。



 生意気にも三つ子たちも、じっと俺を見ている。

―――なんだよ、文句あんのか?


「う、うん。
 今はいない。
 付き合っていた彼女とはとっくに別れているから。
 もう何年も一人だって言わなかったっけ?」
 みんなはまだこちらを凝視している。


―――そんなに驚くところか?


 やれやれ。

 人の恋愛事情なんて、放っておいてくれよぉ。



 すると女性陣が口々に
「もったいない」 
 と、もらす。


「はぁ?
 何ですか、もったいないって」

 俺は栗きんとんに伸ばしていた手を止めた。 

< 43 / 718 >

この作品をシェア

pagetop