年下のカノジョ~あの子は高校生~
 陽がたいぶ傾き、辺りがうす暗くなり始める。



「そろそろ帰るわね」
 と、玲子叔母さんが腰を上げた。

 それにならって、英太叔父さん達も帰り支度を始める。


「俺も帰ろっかな」
 ソファーの背にかけておいた上着を手に取り、袖を通す。


「正和はまだいればいいじゃないか」
 兄貴が言った。


「いや、長居すると親父に飲みつぶされそうだから」
 ちらりと親父を見ると、一升瓶を高々と掲げて胸を張っている。


「まだまだ俺のほうが強いと言うことを見せないとな」
 えへん、と一つ咳払いする親父。

「酒の強さで威厳が保てると思うなよ?」
 クスクスと忍び笑いが俺の口から漏れる。

「明日仕込で店に行くから、体から酒を抜かないとさ。
 じゃ、ごちそうさま。
 みんな風邪引かないようにな」
 三つ子たちの頭を順になでてやった。


「じゃあねぇ」

「また来てねぇ」

「ばいばぁい」


 足元にまとわりつくちびっ子たちに別れを告げて、俺はリビングを後にした。





 玄関を出ると、ピュウッっと音を立てて風が吹き抜けた。

「ひゃぁ、寒っ!!
 これでも今年は暖冬だなんて信じらんねぇな」

 ふかふかのダウンジャケットをしっかり首もとまで閉めて、ポケットに両手を突っ込む。


 今日は酒を飲むことは分かっていたので、車はマンションにおいてきた。

「うう~、本当に寒いな。
 この時間、タクシーつかまるかなぁ」


 大通りに向かって歩いていると、向こう側から女の子が自転車に乗ってやってきた。



「あれ?」
 俺は思わず声が出てしまった。


 その声に驚いて自転車を止めた少女。

 逆光なので顔がよく見えないが、あの子は・・・・・・。
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