年下のカノジョ~あの子は高校生~
「お願い・・・・・・。
 手、放して・・・・・・」

 彼女の掠れた小声。
 


 だけど。

 俺は聞こえない振り。



「え、何か言った?
 声が小さくて聞こえなかったよ」
 
 ニコニコ。

 ニコニコ。
 


 震える由美奈ちゃんを、ただ見ている笑顔の俺。



 でも。

 彼女にとっては悪魔の微笑にすら思えるだろう。





「はっきり言ってくれないと、聞こえないなぁ」



 由美奈ちゃんは涙に濡れた瞳で、俺を見上げてくる。


「どうしてこんなことを・・・・・・?」
 ポロポロと泣きながら、由美奈ちゃんが言う。



 今の俺の中には。

 彼女の泣き顔を見たくらいでは収まらないほど、怒りが渦巻いている。

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