年下のカノジョ~あの子は高校生~
「ん~、いいにおいですねぇ」
 サラダを置きに行った赤川が、戻ってくるなりそう言った。


「でも、これで10人分ですか?
 少ないと思うんですけど」


「いいんだよ。
 テーブルにパスタと取り皿を運んでおけ」

「はぁい」
 腑に落ちない顔をしながらも俺に言われたとおりに、赤川が料理と皿をホールに持って行った。





「そろそろかな」

 オーブンを少し開け、餅の様子を伺う。

 いい具合に膨らみ、焼き色も付いてうまそうだ。


 
 餅を取り出し、スィートチリソースとピザ用チーズを上からかけて、再びオーブンへ。

 チーズが溶けたら皿に移し、パセリのみじん切りを振りかける。


「うん、よく出来た」

 餅の並んだ大皿を両手に、みんなが待つホールへと急いだ。







「お待たせっ」

 ドンッ、とテーブル中央に皿を置く。

 みんなが不思議そうな顔でその料理に注目している。


「あのぉ」

 赤川がおそるおそる挙手した。

「三山さん。
 これってもしかして・・・・・・」


「もしかしなくても、餅だよ」

「ですよねぇ」
 赤川の顔が微妙に引きつっている。


 俺の答えにみんながみんな、隣同士目を見合わせ、こそこそと何かを話している。
 
 なんとパティシエの水田までもが、不審そうな顔つき。


―――何だよ、お前までそんな顔しやがって!



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