年下のカノジョ~あの子は高校生~
 首を傾げつつも、別に隠すこともないから、正直に答えた。

「年ですか?
 16才ですけど」


 それを聞いた瞬間、田辺さんの目が険しくなる。

「16!?
 あの人と11も違うじゃない・・・・・・」


 さっと目線を伏せ、吐き捨てるように言った。




「えっ?」


「ううん、なんでもないわ。
 引き止めちゃってごめんなさい」
 田辺さんはとっさに笑顔を浮かべる。


「・・・・・・いえ。
 では、失礼します」


 せっかく気持ちが落ち着いたところだったのに。


 田辺さんの前から去る私の顔は、口元がかろうじて微笑んでいただけだった。
 







 カウンターにいた山岸さんに、足早に歩み寄る。

「あの、すいません。
 ちょっとお手洗いに行ってもいいですか?」


「かまわないわよ。
 ・・・・・・あら、何かあった?」

 勘の鋭いホールマネージャーは、私の微妙な変化に気付いたみたい。





「何でもないです。
 じゃあ」


 私はその場から逃げるように、洗面所に向かった。

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