年下のカノジョ~あの子は高校生~
「仕事姿?
 社会人なのか?」 
 意外だ、とでも言いたそうな大橋くんの顔。


「そうだよ。
 ちょっと年上だけど、私達はそれなりにうまく行ってると思う」


「ちょっとって、どのくらい上?」

「あ・・・・・・、11才だけど」



 私の答えを聞いて、彼は大きく声を上げた。

「はぁ!?
 11も離れていて“ちょっと”はないだろ。
 そんな年上と付き合っていて、本当にうまく行ってると思ってんのか?」




「え?」

―――どういうこと?


 トゲの刺さった胸の奥の傷口がジクリ、と痛む。 




「それだけ年の差があれば、見てきたものがまったく違うじゃないか。
 うまく行ってる様に思えても、相手が気を遣ってお前に合わせてくれているだけだ!
 そんな付き合い、疲れるだけで、長く続くはずないよ!!」




 グサリ。

 グサ・・・・・・リ。



 大橋君の言葉は小さなトゲなんかじゃなくって、鋭利なガラスの破片。



 ようやく収まりかけた胸のざわつきを呼び起こすのに十分な衝撃。
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