年下のカノジョ~あの子は高校生~
「俺の腕を信用してないなぁ?
 餅自体には味がないから、たいていの味付けに合うんだよ。
 文句は食ってから言え!」

 腕を組み、仁王立ちで全員の顔を見る俺。

―――そんなに餅とチーズの組み合わせは変か?


「じゃぁ、温かいうちに食べようか」
 水田が声をかけると、それぞれが自分の皿に餅を一つずつ取り分けた。

「いただきます」
 赤川の号令と共に、みんなが餅を口に運ぶ。



 訪れた静寂。


 しかし。

 一瞬の後にみんなが笑顔になった。


「うまぁい!!」

「うそっ、美味しい」

「これなら、何個でも食べられるよ」


 口々に好評価を述べる。

 そして、我先にとお代わりをする。




「そうだろ?
 何もしょう油につけたり、雑煮にするだけが餅の食い方じゃないんだ」

 みんなの満足そうな顔を見て、俺は一番端の空いている席に付いた。

 ふと見れば、隣は柏木さんだった。


「すっごいアイデアですね、三山さん!!」
 やや興奮気味に俺に話しかけてきた。


「いや、そんなでもないよ。
 どこかの居酒屋で『餅ピザ』ってのを食べてさ。
 それを少しアレンジしただけだから」
 照れる俺は、鼻の頭を指でかく。
 

「本当に美味しいですぅ」


 間近でにっこりと微笑む柏木さんに、俺はドキッとした。


< 52 / 718 >

この作品をシェア

pagetop