年下のカノジョ~あの子は高校生~
「今の男の子ってさ・・・・・・」
 正和さんが私の顔色を伺いながら、話を切り出した。



「あ、その・・・・・・・。
 何日か前に告白されて・・・・・・。
 その時の断わり方がよくなかったらしくて、押しかけられちゃったというか」


「そっか」
 素っ気無い返事の正和さん。

 すごく怖い目をして、とっくにいなくなった大橋君を睨むかのように小道に目を向ける。


「で、でも!
 今度ははっきり言いましたよ!!
“彼氏がいる”って」
 
 私の言葉を聞いて、とたんに正和さんの瞳が和らいだ。



「よかった。
 ちゃんと断わってくれたんだ」

「もちろんですよ」


「さっきの子に、“彼は私にベタぼれで、私も彼が大好きなのよ”って、言った?」

「ヤ、ヤダ。
 そこまで言えませんよ、恥ずかしくって」

「ははっ、冗談だよ」
 からりと笑う正和さん。 




 その笑顔を見て沈んでいた心がフワンと軽くなった。



 でも。

 刺さったガラスの破片は、氷と違って溶けることなく残っている。
< 520 / 718 >

この作品をシェア

pagetop