年下のカノジョ～あの子は高校生～
　赤川がきちんと背を伸ばし、俺に向き直る。

「だって、そういうものなんです。
　運命の人同士が惹かれあうのは事実ですが、それはお互いが運命を認識して初めて、結ばれるんです。
　どちらかが気がつかなかったり、間違った心がけをしていたら、どうにもなりませんよ」

　真剣に話す奴の顔はいつもとは違って、周りの空気が引き締まった気がする。



　俺もうなだれていた頭を上げ、背筋を伸ばした。

「間違った心がけって？」

「ん～、そうですねぇ」


　赤川は口元に手を当てて、俺に分かりやすい解答を探してくれている。

「例えば外見だけで恋人を選ぶとか、その場の雰囲気に流されて付き合っちゃうとか。
　一目惚れなんて要注意ですよねぇ」

「だけど、直感的に“この人が私の運命の人だ”なんて感じるのは違うのか？」


　そういう出会いこそ、運命と言うべきだと思うけど。　



「絶対違うとは言えませんけどね。　
　お互い初対面で惹かれあうことも稀にありますし」

　ただ･･････、と一区切りして赤川は続ける。


「自分一人が運命を感じても、相手が感じてなければ、当然惹き合いませんしね。
　自分では運命だって思っても、実際にはそうではないこともあります。
　結構多いんですよ、この手の勘違いって。
　こうやって勘違いしたまま結びついてしまうと、最後に待っているのは破局です」

　奴の視線が『この説明で分かりますか？』と訴えてくる。


　俺はうなずきながら、赤川の意見に感心する。

「へぇぇ」

　なんだかいつもとぼけた印象の赤川がこうやって真面目に話していると、別人のように見える。



　仕事もこのくらい真剣になればいいのに･･････。


　あ、真剣にやってるのか？


　でも。

　真剣に取り組んであの程度じゃ、相当努力が必要だぞ、お前。
　



「三山さんたちの場合は、今後の柏木さんの出方次第で変わってくると思います。
　付き合うかどうかは、今の段階でははっきり言えませんね」
　赤川が苦虫をつぶしたような、小難しい表情になる。



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