年下のカノジョ~あの子は高校生~
「あははっ。
 由美奈、本当に分かってなかったの?」
 
 あまりに呆然とする幼馴染に、田口さんは大きく笑った。

「う、うん・・・・・・。
 ぜんぜん」

 お客様や他人に対する気配りは完璧なのに、由美奈ちゃんは自分に関することには少々鈍いらしい。



「ああ、もう、由美奈らしいなぁ。
 けっこう前からバレテたのに」
 ひとしきり笑った田口さんは、笑いすぎて溢れた涙をぬぐう。



「ええっ、前から!?
 そうなの?」
 由美奈ちゃんの顔が真っ赤に染まる。


「そうだよ。
 でも、みんなでそっと見守ろうってことでさ。
 私達、三山さんも由美奈も大好きだから。
 あえて由美奈に確認もしなかったんだ」





「・・・・・・そうだったんだ」 


 恥ずかしそうでもあり、嬉しそうでもあり。

 由美奈ちゃんは複雑な顔をしている。
 





 穏やかな空気に包まれるホール。


 誰もが俺たちのことを快く思ってくれているのが、よく伝わってくる。
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