年下のカノジョ~あの子は高校生~
「いい?
 歩み寄りだよ。
 どちらかが相手に合わせることじゃない。
 俺は由美奈ちゃんに、自分の心を殺してまで合わせて欲しいなんて、ちっとも思ってないから。
 そんなことをしたら、俺が好きになった“柏木 由美奈”という存在が消えてしまうのと同じだから」

 再びこくんと、うなずく由美奈ちゃん。



「俺だってたまにはかっこつけることもあるけど、由美奈ちゃんといる時は自然体の俺なんだよ。
 これが“三山 正和”っていう人間で。
 無理に由美奈ちゃんに合わせる事なんかしてないんだ」


「そうなんですか?」
 意外そうに目を開く彼女。




「もしかして。
 俺が無理して君に合わせているとでも思ってた?」
 
 腕の中の由美奈ちゃんを見つめると、寂しそうな光が彼女の瞳に浮かんだ。



「だって・・・・・・。
 私と正和さんは見てきた世界が違うから・・・・・・。
 私達が仲良くやってこれたのは、その・・・・・・。
 大人の正和さんが・・・・・・私に合わせてくれてるのかなって」

 ゆっくりと、少しつらそうに話す由美奈ちゃん。



 きっとこれは、心の奥にしまっていた言葉なんだろう。

< 644 / 718 >

この作品をシェア

pagetop