年下のカノジョ~あの子は高校生~
「ははっ。
 由美奈ちゃんの期待を裏切るようで悪いけど、素のままの俺だよ。
 大好きな由美奈ちゃんのそばにいる為の努力は惜しまないけどさ。
 自分に嘘をついたり、無理をして合わせるのは、君に作り物の俺を見せるようで嫌だから。
 それに、そこまで器用に気を回せる人間じゃないんだよね、実は。
 ・・・・・・がっかりした?」
 

 チラリと様子を伺うと、無言で首を振る彼女。


「・・・・・・がっかりはしてません。
 変な言い方かもしれないけど、かえって安心しました」

 小さく微笑む彼女の言葉に嘘はなさそうだ。 




「だからね。
 由美奈ちゃんが言う“苦労”なんて、一度も感じたことがないんだ」

 俺の言葉にも嘘はない。



「でも、見てきた世界はもちろん違うよ。
 11年も離れていれば、社会の流れも全然違うからね。
 だけど、違いがあるからこそ、付き合う楽しみがあるんだよ。
 自分の知らない世界を教えてもらえるから」
 


 例えばオルゴール。


 実を言うと、そんなには興味がなかった俺。
 
 これまでもオルゴールの音に好感は持っていたけど、まぁ、嫌いじゃないって程度の気持ちだった。
 
< 645 / 718 >

この作品をシェア

pagetop