年下のカノジョ~あの子は高校生~
「俺がこれまで店のみんなに言わなかった理由、分かる?」


「それは・・・・・・」
 言葉を濁す由美奈ちゃん。




「思っていることを言ってごらん」


「それは、その・・・・・・。
 私が人に言えるような素敵な彼女じゃないから、恥ずかしくて・・・・・・?」

 悲しそうに由美奈ちゃんの瞳が揺れる。




「やっぱりそうか」


 思っていた通りだ。




「由美奈ちゃんがあまりに自分が相応しくないって思い込んでいるから、何でだろうって気になってたんだよ。
 それで思い当たったのが、“隠しているのは、自分が彼女だと知られるのがイヤだから”みたいなことを考えているんじゃないかって」
 

 彼女の額にかかる前髪をそっと払ってやる。

「俺が言わなかったのは、そんな理由じゃない」



 じっと見つめてくる由美奈ちゃんの額にキスをした。



 こわばっていた彼女の表情が,ほんの少し和らぐ。

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