年下のカノジョ~あの子は高校生~
77】2人で歩む道(10):ありがとう
 額にやわらかく押し当てていた唇を離し、今度はまぶたにキスを落とす。


「ごめんね。
 ・・・・・・それから、ありがとう」

 もう一度、まぶたにキス。



「どうしてお礼を?」
 閉じていた目をゆっくりと開ける由美奈ちゃん。


 これまでの話の流れからどうして礼を言われるのか、と不思議そうに数回まばたき。
 




 俺は緩やかなカーブを描く彼女の頬にそっと触れる。

「店長と山岸さんに聞いたよ。
 田辺さんとのトラブルは前からあったって。
 ・・・・・・それと、俺に心配かけないようにきつく口止めしたって事も」



「えっ?」

 俺の手の平の下で、由美奈ちゃんの表情が驚きに固くなる。





 由美奈ちゃんの唇が小さく動く。



 言葉は聞き取れなかったけれど、『どうして正和さんに言っちゃったの?』と動く唇。
 

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