年下のカノジョ~あの子は高校生~
 首を傾げる俺に、彼女は話を続ける。

「前に話してくれましたよね。
“厨房は火も使うし、刃物も扱うから、どんなに気をつけていてもケガをしてしまうことがあるんだ”って」


 付き合い始めて間もなくのこと。

 仕事中、ちょっとしたミスでヤケドをしてしまった俺。


 心配する由美奈ちゃんにそんな話をした。




「だから私に看護の知識があれば、そばにいた場合、手当てをしてあげられるじゃないですか。
 今からお医者さんを目指すのは難しいけど、看護士だったら一生懸命勉強すればなれるかなって。
 手当てのできる彼女って心強くないですか?」
 


 ようやく俺は彼女が言いたかった事に見当が付いた。
 



 由美奈ちゃんは俺と一緒にこの先を歩く道を見つけたんだ。

 ただ、俺のそばで守られているだけじゃなくて、俺と共にいるための道を。



 そして。

 それが“柏木 由美奈”の自信につながるかもしれないって事なんだ。

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