年下のカノジョ~あの子は高校生~
 私は小走りで正和さんに駆け寄った。


「ごめんなさい、待たせちゃって」

 するりと彼の腕に自分の腕を絡め、満面の笑みを浮かべる。




 だけど。

 彼は微笑み返すこともなく、すっと視線を外した。



―――えっ!?

 今まで、こんなことは1度もなかった。




「・・・・・・正和さん?」

 ゴクンと息を飲み、彼の名前を呼ぶ。





 すると、いかにもという作り笑いという顔で、私を見た。


「・・・・・・あ、ごめん。
 考え事をしていたから、びっくりしちゃって・・・・・・」


 あわてて貼り付けた彼の笑顔は、私の知っている笑顔じゃなかった。









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