年下のカノジョ~あの子は高校生~
「はい、正和君。
 ホワイトデーはロマネコンティを待ってるわ」
 
 ウインク付きで渡された。


「げぇっ、それは無理ですよ。
 俺に買って欲しいのであれば、オーナーに給料を上げるように交渉してくださいね」
 

 ちなみにロマネコンティとは、上質なものなら1本100万円は超えるという激烈・超高級ワインである。



「ふぅん、そういう切り返しで来るのね。
 なら、ロマネコンティはあきらめよっと」

 お邪魔しましたぁ、と明るく言って叔母は出て行った。



「あの人のセリフはどこまでが本気なのか分からないな」
 俺と水田は顔を見合わせて、苦笑した。







「さ、帰ろうぜ。
 ・・・・・・って、赤川。
 もう食べてんのか?」

 見れば包み紙がとっくに開かれ、せっせと口にチョコを運んでいる。



「腹減ってんですよぉ。
 んん!
 これ、うまいなぁ」

 せっかくのチョコレートが、見る見るうちに赤川の口へと放り込まれている。


 もっと味わえばいいのに、もったいない。



「へぇ、お前に味が分かるのか?」
 水田がいやみ満載で言う。

「失礼な。
 これでもコックですからね!」
 赤川がエヘン、と胸を張る。


「そのセリフは肉の焼き分けが出来るようになってから言うんだな」


 俺が言ってやると、水田は笑い、赤川が肩を落とした。
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