年下のカノジョ~あの子は高校生~
 せっかくの休日だというのに薄曇りの寒い日。
 
 シーツなどの大きな洗濯物はあきらめて、タオルやTシャツなどを室内に干す。
 


 遅い朝食をとった後、俺は家を出た。
 
 車を15分ほど走らせ、今月の初めにオープンしたばかりのショッピングモールへと向かう。

 ここ1ヶ所で日用品も、衣料品も、食料品もそろうから便利だ。
 
 それにこの辺りではあまりない大型ペットショップがある事が、動物好きの俺としては嬉しい。
 

 今のマンションではペットを飼うことが出来ないので、店内に並ぶ仔猫や仔犬を眺めては、一時的に癒される。




「いいなぁ、この柴犬。
 かわいいなぁ」
 
 俺が右に左にと動くたびに、ぴょこぴょこと尻尾を振ってケージの中を歩く。

 見上げながら俺についてくるので、足元の丸まった毛布に気がつかずにつまづいてしまった。


「ぷっ。
 お前、しっかりしりよぉ。
 なんだか赤川を思い出すな」


 ひとしきり癒されたあと、腕時計を見た。

「あれ、もう4時過ぎてんのか?」
 

 朝食を取った時間が遅かったので昼時に空腹は感じなかったが、さすがにこの時間ともなれば腹が減ってきた。

「どうしようかなぁ」


 せっかく外出しているんだから、何か食べて帰ろう。

「さて、どこで食べようかな」
 店内案内板に紹介されている飲食店の見てみるが、いまいち心惹かれない。



「ん~……、あ、そうだ」


 名案がひらめいた。

「ウチの店に食べに行こう」


 客として入るのも面白いだろう。


―――それに5時からは由美奈ちゃんがバイトに来るはずだ。
 
 彼女に会える。
 
 そう思っただけで心が弾む。
 


 あれこれ悩むことはあるけれど、今は自分の気持ちに素直でいようと思った。

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