年下のカノジョ~あの子は高校生~
「決まりました?」
 オーダー表にテーブル番号をサラサラと書き込んだ由美奈ちゃん。


「そうだなぁ。
 今日のおすすめパスタは何?」

 メニューに迷った時は店の人に聞くのが一番いい。
  


「ペスカトーレ(トマトソースの魚介パスタ)です。
 型のいいムール貝が入ったそうですよ」
 
「なら、ペスカが1つと。
 それから、赤川はいるよね?」

「まだ帰っていないはずですけど・・・・・・」
 オーダーを書き付けた由美奈ちゃんが不思議そうに顔を上げた。

「そっか。
 じゃ、赤川におまかせでオードブルを作るように」
 メニューを由美奈ちゃんに返しながら、俺が言った。

「分かりました」
 にこっと笑って由美奈ちゃんが厨房に向かおうとした。が、突然振り返った。



―――どうしたんだろう。

「何かあった?」

「苦手な食材はありますか?
 あるようでしたら赤川さんに伝えた方がいいかと思って」
 


 俺はちょっと驚いていた。



 彼女はお客のための心配りがきちんとできる子なんだ。

 山岸さんが高く評価するのが分かった。
 
 由美奈ちゃんには接客業が合ってるんだ。




「ああ、わざわざありがとう。
 苦手なものも、アレルギーもないから」


「はい、そう伝えます」 

 軽く一礼して、彼女はその場を去った。





「おっとりしているように見えて、きちんと仕事してるんだなぁ」



 厨房へ続く扉の奥に消えた彼女の背中に呟いた。




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