年下のカノジョ~あの子は高校生~
「えと、何?」

―――そんなに見られてたら照れるし・・・・・・。




「あっ、ごめんなさい。
 コックさんて、こういう時まで料理の事を考えて食べているんですねぇ」
 
 どうやら俺の独り言をしっかり聞いていたらしい。


「でも、私が見ていたら食べづらいですよね。
 向こうに行きます」



―――えっ?!行っちゃうの?寂しいじゃん。

「いや、その・・・・・・。
 1人で食べるのもわびしいから、話し相手にでもなってくれたら嬉しいなぁ、なんて」
 
 ちょっと言い訳がましかっただろうか。
 
 それに彼女は勤務中なんだから、引き止めるもの悪いか。
 


―――残念だけど、これ以上彼女の仕事の邪魔をするのも悪いし。


 さっきの自分の言葉を訂正しようと口を開きかけた時、行きかけた由美奈ちゃんが振り向いた。

「そうですよねぇ。
 1人の食事って味気ないですもんねぇ。
 今はお客様もいなくて手が空いてますから、いいですよぉ」

 そう言って、戻ってきてくれた。



―――やったぁ、言ってみるもんだ。

 俺は彼女には見えないカウンターの下で、ガッツポーズをした。




「んー。
 でも、横に立っているのも変ですし。
 仕事中だから席に座るのもまずいですよねぇ」
 由美奈ちゃんは首をかしげながら、自分の居場所を探している。


「あ、やっぱりいいよ。
 悪いから」

「ぜんぜん悪くないですよ。
 それに私、三山さんとお話してみたかったんです」



「えっ?!」

―――い、今、俺と話したかったって言ったよな?



 ごくん、と息を飲んだ。
< 82 / 718 >

この作品をシェア

pagetop