年下のカノジョ~あの子は高校生~

13】これってデート?

「正和君、もうそろそろいいぞ」

 オーナーが俺に声をかける。



 只今の時刻は19時53分。
 
 いつもならば、ディナータイムのピーク真っ最中の時間だが。

 今夜は客足もまばらで、手の空いた俺は冷蔵庫の中を掃除していた。



 早番の時、店が落ち着いた情況であれば2時間ほど早く上がれることになっている。

「今夜は雪になるらしいから、これよりあとは混むこともないだろう」

「そうですね。
 みんな早く帰ってしまいますよね」


 あと10日もすれば3月だというのに、冬将軍はいまだ頑張って日本列島に居座っている。


 
 俺はするりとサロンを外した。

「じゃぁ、お先に失礼します」

「はい、お疲れさん」

 オーナーと厨房スタッフ達に頭を下げ出て行こうとしたときに、俺は足を止めた。


「水田」

 明日のランチ用デザートの仕込をしていた同僚を呼ぶ。



「何だ、三山」

「ミートパイってまだ残ってるか?」

「ああ、残ってるよ」

「なら、1つ頼む。食べて帰るから焼いといてくれ」

「ん、分かった。
 ・・・・・・最近、早上がりの時は何か食べて行くようになったな。
 これまでそんなことなかったのに」



 オーブンにパイを入れながら水田がボソッと言った。
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