年下のカノジョ~あの子は高校生~
「さてと、食べますか」
 いただきます、と小さく言って食事に手を付ける。

 まずはふわふわ&とろとろのオムレツ。

「ん、さすが俺。
 いい腕してるぅ」
 こんな調子で淋しく(?)自画自賛しながら、朝食は進んで行くのであった。


 
 食事のおかげでお腹も心も落ち着いた俺は、リビングのソファーでしばらくくつろいだ後、出勤することに。


 車を二十分ほど走らせると、大通り沿いに面した職場が見えてきた。
 

 オフィス街にも住宅街にも程近いレストラン。


 ランチはもちろん、戦場のごとく慌しく混みあい。

 ディナーは仕事帰りのカップルや、大人たちのちょっとした食事会でいつも賑わいを見せている。


 
 ランチは二時でオーダーストップなのだが、一時半のこの時間で下げられている札が『CLOSE』となっている。

 早々と予定数をクリアしたらしい。


「さすがだよなぁ、公介叔父さん。
 俺も早くおじさんの腕に追いつきたいよなぁ」


 味もスピードも、料理人としての生き方もすべてが憧れの叔父。

 俺が今、一番尊敬する人だ。
 


 店の前を通りすぎて、裏にある駐車場へと向かう。

 砂利の音を響かせながら車を停めた。





「おはようございます」
 従業員出入口から中に入り、男性更衣室へ入ってゆく。

「あ、おはようございます」

「おはよう」

 バイトや先輩、同僚が挨拶を返してくれる。

「今日は随分早い出社だな」
 同期でデザート担当の水田が着替える手を止めて話しかけて来た。

「あ・・・・・・、まぁね」
 隣に並んで俺も仕事着に着替え始める。

「おかしな夢を見ちゃってさ、早くに目が覚めちゃったんだよ」
 うっかりと口を滑らせてしまった。



―――まずいかもっ?!

 俺はすぐさま水田から視線をはずす。
 
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