年下のカノジョ~あの子は高校生~
 その姿を見送っていた由美奈ちゃんが、こっちにやってきた。

「何かあったんですか?
 赤川さん、すごく慌ててましたけど」

「ん?
 ああ、ソースの鍋を火にかけたままだったんだって。
 だから急いで戻ったんだよ。
 おっちょこちょいだよな」

「そうでしたかぁ。
 赤川さんらしいですね」
 彼女が納得してうなずいている。


―――ごめんな、赤川。
 でまかせ言ったりして。
 
 ・・・・・・て言うか、由美奈ちゃんに納得されてるぞ?!



 予想通りその後の客足は伸びず、おかげで手の空いている由美奈ちゃんと談笑しながらの食事を過ごすことが出来た。
 

 何の他愛のないものだけど『由美奈ちゃんとの会話』というだけで、胸がときめく。
 
 こうして話をしているだけでは何の進展もしない、不毛な時間。




 分かってるさ。
 
 でも、今の俺にとってはかけがえのない大切な時間なんだ。


 俺の冗談でコロコロと笑う由美奈ちゃんをずっと見ていたくて、店が暇なのをいい事に引きとめ続ける。



「―――でね、そこのペットショップにいた仔犬がすごく可愛くってさ」

 先日訪れたショッピングモールでの出来事を話題にした。



「何の仔犬ですか?」

「柴犬。
 目がクリクリしていて、動きのぎこちないところがまた可愛かったよ」
 


 本当に可愛かった。

 もし、住んでいるマンションがペットOKだったら、即購入してたかも。
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