恋衣〜あなたとずっと一緒に居たくて〜
長い時間本屋にいたから
空腹感ありありで
私はコーヒーのにおいに誘われてしまい
今一人でコーヒー飲んでいるの。

駅にあった旅行のパンフレットを、
ただペラペラめくっていた。
北海道と沖縄
北と南?
私はどこに行きたいのかな?って
ただページを進ませていた。


私の隣に荷物を置いた人がいたけど、
気にもしないでパンフレットに目を奪われていた。


「 となりいいですか? 」

一人だからカウンター席にいた私。
言葉をくれた人の顔も見ずに
となりの椅子に置いてあったバッグを膝の上に移し…


「 どうぞ! 」


答えて私はパンフレットを見ていた。


「 先ほどは…。 」


の言葉に、はじめて顔をみた。


「 あっ! 」


その言葉しか出なかった自分にウケてしまったけど、
この男性も私に微笑みかけるしかないのか?
しばらく沈黙が続いていた。

コーヒーショップは騒がしいのに
二人の間は静かで
何を話していいのかわからずに
お互い窓の外を見ているしかなかった。


「 あの…
ボクは入江昇輝( いりえ しょうき )です。
君の名前聞いてもいいかな? 」


「 はい!
私は仁科瑠香です。 」


自分の名前を言っただけなのに
私は何故か照れてしまった。
もう恥ずかしくって下を向いている私に


「 あの…仁科さん
このあと帰るだけですか?
それとも予定ありますか? 」


ちょっとハニカンだ顔して私にきいてくれた入江くんに


「 特に予定ないですけど…。 」


なぜか照れ笑いの私がいる。
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