アナグマさんの動物記【Cat】
タオルを受け取ったディーは、まず自分の肩や頭ではなく、腕の中の生き物――小さな猫の頭を、優しく拭いた。
目を見開いて警戒しきりの仔猫だが、暖かい屋内と、一先ずは危険なものの匂いがないことに安心したのか、徐々に体の力を抜いていく。
「路地で鳴いていたんですよ。近くに他の猫がいないか探したんですけど、見つからなかったので」
「ふぅん、そのタイムロスがあってもこんなに早かったということは、余程急いで帰ってきたんだね」
「だって、風邪引いちゃいますし」
「その面倒見の良いところは君の長所だと思うよ。それがもう少し僕にも発揮されてくれれば申し分ないんだけどね」
「親のいない仔猫といい年した男は扱いが違って当然です」