アナグマさんの動物記【Cat】



おおまかに水気を取った猫の前に、アナグマが顔を近付ける。
数秒、怯えたようにディーの腕にしがみついていたが、彼が目を合わせたままゆっくりと瞬きをすると、次第に警戒を解いていった。

指を差し出すと、鼻を近付ける。
ひげをひくひく揺らしていた猫が一通り満足するまで匂いを嗅がせたあと、今度は皿のミルクを指先に少し付けて、また鼻先へ持って行った。
猫はしばらく同じ動作を繰り返していたが、やがて恐る恐る舌を出すと、ミルクの付いた指を、舐めはじめた。

降ろしてごらん、というアナグマの声に、ディーは従う。
体を低くする仔猫の前に、小皿を置いた。

さっきと同じものだと気付くと、あとは早かった。
ピチャピチャと音を立てて、ものすごい勢いでミルクを飲んでいる。
小皿がすっかり綺麗になるのに、たいした時間はかからなかった。




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