アナグマさんの動物記【Cat】
「野良らしいが、痩せてもいないから、ミルクはあまり必要ないかな。缶詰の餌を買ってくれば事足りる。……まったく、仔猫の食欲は桁外れだというのに、ディーときたら」
「すみません。僕のお給料から引いてください」
「そんな、ただでさえそんなに受け取らないのに」
「貰っても使い道ないですし。衣食住のお世話までしてもらってるのに、本当は少しもいらないくらいですよ」
「世話をしてるのは君だよ、僕は提供しているだけで。……まぁ、いいか。給金はいつも通り出すから、ディーが餌を買って来てくれるかな」
はい、わかりました。
そうは言ったが、今の会話で妥協したのは、実はディーの方だった。
あんなふうに言っておいて主人は、ついでだからとか何とか言って、結局猫の餌を自分で買ってくるのだろう。そういう人だ。