桜の咲くころ
待って。

何で愛する旦那と浮気した女の方を心配するの？

普通なら、罵って暴れるんじゃないの？

よく状況が飲み込めないでいると、シンが横から口を挟んだ。

「あの、さっき言ってた事件って？」

あぁ、そんな事言ってたっけ。

さすがシン、冷静だな、なんて関心して頷いた。

「あ･･･、ミカコさんの他にもお付き合いしてる女性がいまして･･･県外に住んでる方なんですが･･･その人に暴力を振るって怪我をさせたと警察から連絡が･･･」

「は？他にも女が居たんですか？」

あたしとシンは同時に口を開く。

「はい･･･そうみたいで」

「それをアナタは知らなかったんですか？」

「恥ずかしい話ですが、本当に仕事で忙しくしてるんだとばかり思っていました」

ある意味、完璧な男。

奥さんの話によると、会う女の事からアリバイの言い訳まで事細かに書かれていたそうで。

どうりでウソが完璧だと思った。

あたしでさえ騙されていたんだから。

「それで、その人になぜ暴力を？」

「別れ話･･･からと言う事でした」

「彼女が別れを切り出したんですか？」

「はい、独占欲が以上に強い人ですから･･･手放したくなかったんだと」

それを聞いて、あぁ、なるほどと納得してしまう。

「それで、ミカコさんにも会わないと言われたと書いてありました。だから私、心配で」

「私なら大丈夫ですよ。こちらこそ、すみませんでした･･･。知らなかったとはいえ･･･」



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表紙・目次

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