桜の咲くころ
衝撃
仕事場の病院から、徒歩で10分くらい離れた住宅街の一画にあたしの家がある。
職場に近いことと、大通りに面してて便利がいいので借りたマンション。
リカとのランチの帰り道、サトルが部屋に来ることを思い出してあたしは近所のスーパーへ寄り道することにした。
ハンバーグがいいって言ってたっけ。
そんな事を思い浮かべながら、黄色いカゴを手にとって店内をウロウロと歩き回る。
大型のスーパーだけあって、品揃えが豊富なんだけど、あまり普段使わないスーパーだったから何がどこに売ってるのか分からずに、すっかり迷子になってしまていた。
「肉よ、肉。挽肉の売り場はどこよ」
口の中でブツブツと呟く。
鮮魚コーナーを抜けて精肉コーナーに辿りついた。
行儀良くならんでる肉をあたしは唇を尖らせて眺める。
…挽肉はどこですかー?
バラ・ロース…分厚いもの、薄切りのもの。
探してもお目当ての品は目に飛び込んでこない。
あまりにも見つからないので、だんだん作るのが面倒になってきていた。
やっぱ外食にしよ。
あたしは疲れたように溜め息をつき、顔を上げると勢いよく後ろに足を踏み出した。